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お正月にはこの椀を。

今年も早いもので12月に入りました。
この数日で一気に冬模様になりましたね。

12月になると旧暦で「師走」というように、一年の締めくくりと新年を迎える準備にとやることがたくさんあり、忙しく走り回る月になります。
味噌屋も、新年のあんもち雑煮用の白味噌仕込みが忙しくなる時期です。

さて、その雑煮についてですが、香川県内でもあんもち雑煮に種類があるのをご存知でしょうか?
今では、全国的に「白味噌の味噌汁にあん餅」が入ったことが知られるようになりました。
しかし、香川県内のさまざまな地域でお話を聞いてみると、「白味噌の味噌汁に丸餅」「白味噌の味噌汁に塩あん餅」「赤味噌の味噌汁に丸餅」「赤味噌の味噌汁に塩あん餅」「すまし汁に丸餅」と、「白味噌の味噌汁にあん餅」以外も多くありました。東かがわ市や小豆島では、「白味噌の味噌汁に丸餅」が多いそうです。

「赤味噌の味噌汁に塩あん餅」ときくと、やはり香川県のお雑煮には、味噌とあんが欠かせない地域であることを感じました。

その歴史は、香川県の主要作物であった讃岐三白(塩・砂糖・綿)と深いつながりがあります。食べられるようになったのは明治時代から。さとうきびづくりに精を出していた農家がせめて正月だけでも甘いものを家族で食べたいと、砂糖を使ったあんもちを雑煮にしたことが始まりと言われています。
また、水不足に悩まされ米の収穫が安定しなかった香川県では、赤味噌に比べ、米を多く使用する白味噌はハレの日に食べる味噌として、家庭で大切に仕込まれていたそう。

さまざまな思いや環境から生まれた、香川県の「白味噌の味噌汁にあん餅」を使った雑煮。ぜひ、新年を迎える郷土料理として続いていくことを願いします。

今年は、新型コロナウイルスにより、環境が大きく変わった一年だと思います。家族集まることが難しいからもしれませんが、お住まいの場所で地元の味で無事一年を終え、新年を迎える味として作っていただきたい郷土の味です。