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味噌を寿ぐ

2週続けての台風一過、やっと晴れ間がのぞいています。

今年の秋は雨が多くあっという間に冬の到来はすぐそこ、季節の変わり目のダイナミックさを感じますね。
新米や新しい大豆などが出回りはじめ、本格化している正月に向けての仕込みにも力が入ります。

同じ産地でも年でちがう収穫の出来に、培われてきた製造技術を使って、味をできるだけ変わらずに造っている弊社の白味噌。
ただ最後の仕込みは冬の寒さの自然まかせですので、人のちからでは及ばないところを感じます。

この自然との共存をうまく表しているのが、寺院で執り行う秋祭りだと思います。地域の安泰と穀物などの収穫に感謝する祭典。
一昨年の晦日に甘酒をお納めした地元の神社石清尾八幡宮も、先日秋恒例の例大祭がありました。残念ながらちょうど台風と重なり、参拝者も少なく楽しみな露店もなかったようです。神輿を神主さんなどが装束に身を包み進んでいく様は、日頃くらす街が一気に華やかになり、子供の頃は露点の食べ物とともに目に楽しかったのを憶えています。

全国に様々にある神社には、味噌をお奉りしている神社があるのはご存知でしょうか。

熊本市にある味噌天神宮は、全国で唯一の味噌の神様をまつる天神様で、正式には本村神社といい、713年に建立されました。
疫病が流行した時に神薬の神「御祖天神」を奉ったのがはじまりとされ、後に国分寺の味噌倉の守護神となったとか。腐った味噌を美味しく生まれ変わらせたとの伝承も言い伝えられています。

毎年10月25日には例大祭があり、今年も25日に執り行われました。熊本県内の味噌業者があつまり、奉納した味噌を参拝者に配布されるなど、今年も大勢の人で賑わったそうです。
昨年の熊本地震では、鳥居が壊れるなど被害が大きかったそうですが、今年の6月に新しい鳥居が完成したとのこと、ことさら喜ばしいお祭りになったのではないでしょうか。

農作物はもちろん、発酵も自然の力を借りたもの。それを感謝するかたちは、うつくしいなと思います。
秋のこの時期には少しむずかしいですが、いつか味噌を製造する者として訪ねてみたい神社です。