作成者別アーカイブ: sanukimiso_admin

端午の節句に食べるもの

端午の節句のお祝いに食べるものといえば、柏餅やちまき。
いづれも縁起のいい食べ物として定着してきました。
昨年の5月には、白味噌餡の柏餅についてやなぜ柏餅を食べるようになったかを紹介しました。
2020年5月 白味噌餡の柏餅。

今年は柏餅とともに食べて、男の子の健やかな成長をお祝いする「ちまき」についてお話しさせていただきます。
柏餅が日本独自の祝い餅な一方、ちまきは中国の行事とともに日本へ伝わってきた慣習です。中国の5月5日の節句には、節物として悪龍が苦手とする連珠(れんじゅ)の葉で米を包み、五色の糸で縛ったちまきを作り、親戚や知人に配るという習わしがありました。その風習は、病気や厄災を避ける大切な宮中行事、端午の節句となり日本に伝わったと言われています。

また、ちまきと言っても日本では中身がおこわのものと、中身が甘い団子のものに分かれているようです。鹿児島ではさらに独自のものがあるようです。

北海道、東北、関東甲信、四国や九州の一部では「中華ちまき」で、もち米と一緒に肉やタケノコ、しいたけなどを一緒に竹の皮で包んで蒸しあげたもの。
一方、東海北陸、近畿、中国、四国や九州の一部、沖縄では「お団子」と答え方多いようです。こちらは笹の葉に白くもちもちした甘い団子包まれているようです。
また、鹿児島では「灰汁巻き」と言って、灰汁に漬け込んだもち米を竹の皮で包みもみ、さらに灰汁で炊き上げたものがあるようです。
砂糖醤油や黒砂糖、きな粉をつけて食べます。

味噌の種類が地域で違うように、ちまきも地域で異なるというのは今年初めて知りました。たしかに、香川県ではちまきと言えば両方とも思い当たります。
おこわのちまきも分かりますし、弊社の近所の菓子屋では笹の葉に包まれた団子がちまきとして端午の節句時期販売されています。
※写真は近所の和菓子屋で販売されているものでお団子です。

地域で異なる食文化を知るというのも面白いですね。
日本にある節句を歴史と共に振り返りながら楽しむのはいかがでしょうか。

四国の味噌の話

桜が満開を迎える今日この頃。
香川県では新型コロナ警戒レベルが2日連続で引き上げられ、
不要不急の外出を控えるようにとアナウンスされていますね。
皆様お身体大事にしてくださいね。

また今回お家での読書時間にいかがでしょうか?と、
弊社が取材を受けた雑誌について紹介します。

香川県発・四国の人・モノ・コト・食・暮らしについて発信をするライフスタイルマガジン「IKUNAS(イクナス)」2021年3月末発売号の「四国のさしすせそ」特集のコラムで取材を受けました。
今回取材を受けた内容としては、四国の味噌について。

弊社は香川県で100年近く味噌作りをしています。
だからこそ味噌に向き合い続け、味噌とともに暮らしてきました。

味噌は米・麦・大豆、塩などの食材から作られます。
平野の多い香川県は砂糖や米が採れたため、白味噌が普及。また、水不足の文化で米は貴重とされていたことから、白みそをめでたい正月のお雑煮に使うほどでした。

そんな歴史や文化は、味噌を見れば分かると言われています。
そんな話を「IKUNAS(イクナス)」では紹介いただいています。

書店などで購入できるそうです。
ぜひ、四国の食文化、味噌文化にふれていただけると嬉しいです。

▼書店で発売されている「IKUNAS」

味噌屋と桃の節句。

春を感じる今日この頃。3月に入りましたね。
3月になると少しずつ春が近づき始め、冬を乗り越えたたくさんの花や木草が一斉に成長する月なので「木草(きくさ)弥(いや)生(お)ひ茂る月」が「弥生(やよい)」と詰まって呼ばれるようになったと言われています。

そんな3月ですが、早々桃の節句を迎えます。
桃の節句に甘酒を飲む風習があると思いますが、
実は甘酒に似た、桃の花びらをお酒に浸して作った
「桃花酒」をふるまう習慣があり、桃には邪気祓いの力があると
いわれているので、邪気祓いをする節句が桃の節句でもありました。

桃は100歳に通じる不老長寿の木であり、
縁起の良いものとされていました。
邪気を払い、長寿を願う思いが込められたしきたりです。

また、甘酒といっても酒粕の入ったものと、
米麹からつくるノンアルコールのものとあり、
米麹が原料である味噌をつくる味噌屋では甘酒とゆかりがあり、
時折、お客様より甘酒をつくるための米麹の問い合わせがあります。
ノンアルコールなので、お子様からご年配の方まで
味わっていただける米麹の甘酒。

桃の節句、春を愉しむ飲み物として、
桃や桜の花びらを浮かべてもよいかもしれませんね。

米麹については、お気軽にお問い合わせください。
春の始まりに味噌屋の甘酒はいかがでしょうか。

新年のご挨拶。

新年、明けましておめでとうございます
これからも「変わらぬ味」と「暮らしに寄り添う情報」をお届けいたします。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

お正月にはこの椀を。

今年も早いもので12月に入りました。
この数日で一気に冬模様になりましたね。

12月になると旧暦で「師走」というように、一年の締めくくりと新年を迎える準備にとやることがたくさんあり、忙しく走り回る月になります。
味噌屋も、新年のあんもち雑煮用の白味噌仕込みが忙しくなる時期です。

さて、その雑煮についてですが、香川県内でもあんもち雑煮に種類があるのをご存知でしょうか?
今では、全国的に「白味噌の味噌汁にあん餅」が入ったことが知られるようになりました。
しかし、香川県内のさまざまな地域でお話を聞いてみると、「白味噌の味噌汁に丸餅」「白味噌の味噌汁に塩あん餅」「赤味噌の味噌汁に丸餅」「赤味噌の味噌汁に塩あん餅」「すまし汁に丸餅」と、「白味噌の味噌汁にあん餅」以外も多くありました。東かがわ市や小豆島では、「白味噌の味噌汁に丸餅」が多いそうです。

「赤味噌の味噌汁に塩あん餅」ときくと、やはり香川県のお雑煮には、味噌とあんが欠かせない地域であることを感じました。

その歴史は、香川県の主要作物であった讃岐三白(塩・砂糖・綿)と深いつながりがあります。食べられるようになったのは明治時代から。さとうきびづくりに精を出していた農家がせめて正月だけでも甘いものを家族で食べたいと、砂糖を使ったあんもちを雑煮にしたことが始まりと言われています。
また、水不足に悩まされ米の収穫が安定しなかった香川県では、赤味噌に比べ、米を多く使用する白味噌はハレの日に食べる味噌として、家庭で大切に仕込まれていたそう。

さまざまな思いや環境から生まれた、香川県の「白味噌の味噌汁にあん餅」を使った雑煮。ぜひ、新年を迎える郷土料理として続いていくことを願いします。

今年は、新型コロナウイルスにより、環境が大きく変わった一年だと思います。家族集まることが難しいからもしれませんが、お住まいの場所で地元の味で無事一年を終え、新年を迎える味として作っていただきたい郷土の味です。